「みんながニコニコ働けるように動いていきたい」みてねのデザイナーが語る、チームの理想の姿

 
2023/5/2
 
 
「家族アルバム みてね(以下:みてね)」では、マトリクス組織によるプロダクト開発体制を2022年4月より導入しました(詳細はこちら)。さらに2023年3月には、みてね事業部を3つの部門に分割しています。
絶えず変化を続けるみてねのメンバーは、何を考え、どんな理想を抱いているのでしょうか。
今回インタビューしたのは、みてねのデザイングループ マネージャーの渡辺(写真左)と、UIデザイナーの野添(写真右)です。
“ユーザー目線”を持つ方が多いというチームのカルチャーや、デザインシステム制定の取り組み、目指すチームの姿などについて聞きました。

組織構造はフラット。二つのデザイングループの役割

──まずはデザイングループのチーム構成について教えて下さい。
 
 
渡辺:デザイングループは全部で9名で、6名のプロダクトデザインチームと3名のプロモーションデザインチームの2つに分かれています。ちなみに、僕たち2人はプロダクトデザインチームに属しています。
 
──組織はどのような構造になっていますか?例えば、リーダー的なポジションの方が引っ張っていく形など。
渡辺:プロダクトデザインチームは主にアプリや商品に関する企画・検討・デザインに注力しており、プロモーションデザインチームはユーザーさんとのコミュニケーションや新規ユーザーさんの獲得に軸足を持っています。デザイングループ含め、みてね全体のカルチャーとしてトップダウンというよりはボトムアップで、何事もメンバー同士が議論をしながら進めていくことが多いように思います。野添さんはどう感じていますか?
野添:そうですね。まず渡辺さんに聞いて、指示を受けて、みたいな仕事の進め方ではないです。誰かがボールを持って、チームのみんなから意見をもらいながら日々進めていっています。
 
──特定の誰かに指示を仰ぐのではなくて、チームみんなで話し合って進めているんですね。各デザインチームはどういった役割を担っているのでしょうか?
渡辺:みてねにはDADMERCHと呼ばれるドメインチーム(※)があり、プロダクトデザイナーは各ドメインチームのメンバーとして、それぞれの領域の業務に取り組んでいます。
※ デザイナー、エンジニア、QA、スクラムマスター、プロダクトマネージャーで構成された職能横断チーム。みてね事業を領域ごとに分けたドメインの業務に向き合っている。
プロモーションデザインチームは、写真プリントやみまもりGPSなど、みてねで提供している商品やサービスについて、ユーザーさんに伝える役割を持っています。提案ひとつとっても単なる商品訴求に終始するのではなく、ユーザーさんの気持ちに寄り添って思い出の振り返りにつながったり、思わず微笑んでしまったりするような魅力的な伝え方ができないかを考え模索しながら進めています。
みてねはグローバルで展開しているサービスですが、プロダクト/プロモーションチームともに国内外問わずにデザイングループの各メンバーが担当しています。

プロダクトを「自分ごと」として見つめるメンバーたち

──みてねのエンジニア組織では、自分の得意領域とは違う領域のタスクにもチャレンジするカルチャーがあるとお聞きしました。デザイングループにはそういったカルチャーはありますか?
渡辺:初期は業務範囲が広範だったように思います。領域を分けずに必要なことは何でもやりましょう、という雰囲気でした。一方で事業も組織も成長する中、徐々に担当領域を分けて専門性高く業務に取り組む必要性を感じ出して、2年ほど前にグループを2つに分けています。
 
━━それでは、最近入社された方は各自の専門領域を持たれている感じでしょうか。
 
 
野添:そうですね。専門性を意識して採用することが多いかと思います。ただ、得意なことだけやればいいという考え方かと言われたら、それもちょっと違っていて……。
渡辺:そう、ちょっと違いますよね。
野添:ベースには、必要なことはなんでもやるというマインドは残っている気がします。プロダクトにとって必要だと判断したら、これまでやったことのない領域にもチャレンジするという考え方はありますね。
渡辺:そうありたいですよね。
──他にも、メンバーに共通する姿勢などはありますか?
野添:これはデザイングループに限った話ではないですが、作り手でありながらユーザーでもあるメンバーが多いんですよね。みんな心から「みてね」というサービスを愛していて、全世界の家族のためにサービスをよくしていきたい!という気持ちに溢れていると思います。
 
──作る側がリアルなユーザー目線を持つのは、すごく難しいことだと思いますが、メンバーが実際のユーザーでもあると、作り手としての意識も変わってきそうですね。
野添:プロダクトが邪悪な方向にいってほしくない、という気持ちをみんな持っているような気がします。自分ごと化できていないとスルーしてしまいそうなことでも、自分が実際に使う場面を想像しながら「この表示は無い方がいいと思う」などの率直な意見をくれる方が多くて。子どもがいないメンバーでもすぐそばにユーザー目線を持った方がいるので、いつでも質問できますし、すごく助かっています。
 
──ちょっとした場面でもユーザー目線を持てたり、みてねのことが自分ごと化できている方が、すごく多いんですね。
渡辺:そうですね。「みてねに携わりたい」というメンバーが揃っているので、そういった傾向が強いのかもしれません。

みてねのデザインルールを凝縮した”デザインシステム”、その効果とは

 
──続いて、デザイングループの取り組みについてお聞きしていきます。現在デザインシステムを制定中だとか……?
野添:そうですね。みてねのデザインのルールをデザインシステムとしてまとめ、共通認識としていくことで、チームの足並みをそろえるのに役立てたいと思っています。ルール化できないか考えることが好きなので、数年前からコツコツ作り続けてきました。
 
──少しずつ積み重ねてきたのですね。
野添:まずはよく使われるものからルールを決めていって、できることから進めてきました。今はかなり内容も充実してきて、チームメンバーと「外部公開も視野に入れて動きたいね」という話もしています。
 
──外部公開、良いですね!デザインシステムの制定はチーム全体で取り組まれていることなのでしょうか?
渡辺:野添さんともうひとりを中心に、デザイングループ全体で協力しあって取り組んでいます。
 
──なるほど。ちなみにデザインシステムには、どのようなメリットがあるのでしょうか?
 
 
野添:自分たちが使っているデザインの指針やUIのルールを「こういう意識を持ってデザインしてます!」と明確にすることで、デザイン組織としてメンバーやデザインした成果物のまとまりが期待できると思います。また、外部にもアピールすることできちんとデザインのルール作りをしている会社だと感じてもらえ、採用活動にも寄与できるのかなと。
それに、外部の委託先や関連会社とのやりとりを効率化したい気持ちもあります。今はさまざまな情報を逐一お伝えしている状況ですが、外部公開後は「ここにアクセスしてください」と伝えるだけでよくなるはず。
 
──さまざまなメリットがあるんですね。余談ですが、以前みてねのエンジニアの方に「アプリエンジニアがUIパーツを使いやすいように、デザインシステムが整備されていてありがたい」というお話を聞いたことがあります。
野添:ほんとですか!あー、嬉しいです(笑)
渡辺:エンジニアさんと一緒に作ってましたよね。
野添:デザイナーだけで作って、実際に使うエンジニアさんが「これどうやって使うの?」と戸惑ってしまったら意味が無いと思って。有志のエンジニアさんと定例で相談しながら、プロジェクトっぽく進めていました。デザイナーだけで決めない、というのは気をつけていたところかもしれません。
 
──業務効率化的な取り組みもされているんですね。
渡辺:そうですね。こういったルール化の取り組みは、みんなすごく助かっていると思います。

組織をアップデートするため採用にも注力。内側から強くする取り組みも

 
──お二人が現在課題に感じていることはありますか?
渡辺:課題は採用ですね。プロダクトデザイナー、マネジメント人材の採用に力を入れています。
 
──それはどういった背景から?
渡辺:みてねとして、来期以降さらに高い目標を掲げていまして。目線の高い目標なので、組織にも手を入れて体制を整える必要があると思っています。次のフェーズに向けてみてねのデザイン組織もアップデートや変革が必要だと思っており、一緒に向き合ってくださるようなプロダクトデザイナーやマネジメント人材の採用が重要だと考えています。
 
──みてねの事業成長をブーストさせてくれるような方がいると良いですね。野添さんはいかがでしょうか?
野添:チーム内の心理的安全性を、高められるだけ高めたいですね。
 
──「高められるだけ高めたい」というところが肝ですね。
野添:既に意見を言い合える環境ではありますが、もっと上を目指せるはずという気持ちでいます。DADチームでは、人事の方にお願いしてチームビルディングのワークショップをやってもらっていて。毎回得るものがあってすごく好きな取り組みです。
事業の成長に伴って組織が変わると、働き方や仕事の進め方も変わっていきます。そうした時に、自分が不便だと感じている点をもっと気兼ねなく言えるような組織になっていければいいですね。
 
──組織編成があると、また一から関係構築しなければいけないですもんね。
野添:そうですね。もちろん何を言ってもいいわけではないですが、安心していろいろなことを聞いたり聞かれたり、頼ったり頼られたりしやすいチームを常に目指していきたいです!
 
──心理的安全性について、渡辺さんはどう思われますか?
渡辺:人事の方がやってくださるワークショップなどで、どんどん良くなっている感じはありますね。あとは最近KAKKA(プロダクト開発部 部長)が実施してくれたスクラム研修でもかなり改善するんじゃないかなと思っています。
スクラム開発の根底に、ゴールに対して職能関係なく協力して向きあうというスタンスがあると思います。同じ目標に向かって目線を揃え、お互いにサポートしあうような形になっていくはずなのでとても楽しみです。

必要なことにひとつずつ取り組み、よりよいチームへ

 
──最後に、これからどんなチームを目指していきたいか教えていただけますか?
 
 
渡辺:デザインを軸足にミッションの実現に最大限貢献できる、よりよいチームを作っていきたいです。
 
──具体的には、どのようなことに取り組んでいきたいですか?
渡辺:組織カルチャーやブランドに関する言語化、そして先程話に出たデザインシステムの外部公開など、今後のデザイン組織に必要なことにひとつずつ取り組んで前進させていきたいです。
現在9名のチームなので、マネージャー1人体制もそろそろ限界を迎えると思っています。今後のデザイン組織を描いたり、リードできるような方に来ていただき、メンバーと一緒に話し合いながらチームをより強化していきたいです。
 
──組織編成も含めて、さまざまな取り組みを進めていきたいですね。野添さんは目指すチームの姿はありますか?
野添:ある日誰かが欠けてしまってもすぐに体制を組み直せるような、バランスを取り続けられる組織でありたいです。
誰かがいなくなると困るような状態はサステナブルではないと思います。なので全員がすぐにキャッチアップできるような仕組みを作って、チームに浸透させるように動き続けたいですね。「私が知ってるからいいや」みたいな動きはしないようにしたいです。
デザインシステムの外部公開も近いお話で。デザインの考え方やツール・素材などの使い方などについて、これを読めば分かる!という状態にして、みんなで知識をシェアし合える組織にしていきたいです。
 
──野添さんはプロダクトだけでなく、チームに対しても熱量高く興味を持たれている方なんですね。
 
 
野添:そうかもしれません。みんなが楽しそうに働いているところを見るのが一番の幸せなので、これからもみんながニコニコ働けるように動いていきたいです。
渡辺:いやー、素晴らしいですよね。
野添:あ…でも、プロダクトを強くしていく企画を考えるような方面もまだまだ力不足だと感じています。これからもみなさんに色々教えていただきながら、今の自分にできるアクションを起こしていきたいです……!
 
──そういった気持ちの方がいるとチームの雰囲気が良くなりそうで、素敵だなあと思いながら聞いていました。それでは、ありがとうございました!