目指すのは、世界中の愛情が受け継がれるプラットフォーム。そのブレないビジョンの真髄をPO笠原に聞く。

 
2023/7/25
 
 
「家族アルバム みてね(以下:みてね)」は、今年サービス開始から8周年を迎え、2022年8月には利用者数が1,500万人を突破しました。現在は海外展開にも注力しており、海外でも着実にユーザー数を伸ばしています。
そんなみてねでは、いったいどんなゴールを目指しているのでしょうか。
「リリース当初はここまで多くの方に使っていただけるとは思っていなかった」と語る、みてねプロダクトオーナーの笠原健治に、大切にしていることや目指すゴールについて聞きました。

これまでの取り組みが花開いた2022年

 
──2022年はラブグラフの子会社化や「みてねみまもりGPS」の発売など、さまざまなアクションを起こしていた印象ですが、振り返るとどんな一年だったと感じますか?
笠原:これまでやってきたことが、さまざまなところで花開いたような感じがします。海外ユーザーおよび海外のアクティブユーザーあたりの収益も増えてきましたし、みまもりGPSや出張撮影、写真プリント、みてねコールドクターなどの周辺サービスも好調です。今後採用を強化し、さらに事業を成長させていくつもりなので、その土台となる1年間になったと思います。
 
──これまでの取り組みが、良い結果として現れてきているんですね。なにか直近海外で印象に残っていることはありますか?
笠原:少し言及されただけではありますが、「The New York Times」で、FamilyAlbum(※海外でのみてねの名称)についてご紹介いただきました。また、広告を経由せずオーガニックでアプリを始めてくださるユーザーさんの数が着実に増えていて、海外でも口コミでサービスが広がっている手応えを感じています。
あとは、SREの取り組みのおかげで海外でのユーザー体験もかなり良くなってきています。今年のGWに現地から使い心地を確かめる機会があったのですが、日本での利用と同様にストレス無く使うことができました。

「世界一」を目指し、海外ユーザー獲得を押し進める

 
──さまざまな面で成長の手応えを感じられていることと思いますが、現在はどういったことに注力して取り組まれていますか?
 
 
笠原:重視しているポイントは3つあります。1つ目に海外ユーザーの獲得強化。2つ目に子育ての課題を解決するような新たなサービスを展開し、みてねの収益性を強化していくこと。そして3つ目に、みてねというサービスをより使いやすくアップデートしていくことです。
今の時代、その領域で世界一のサービスにならないと最終的に生き残れないと思っているので、海外ユーザーの獲得強化は特に重要視しています。今や世界中どこからでもストアへのアプリ公開、SNSやWebサイトでの広告出稿、現地の方へのユーザーインタビューなどが可能です。逆に言うと世界中どこからでも攻め込まれる立場でもあるので、グローバルで勝ち抜ける設計を確立しなければグローバル規模の会社にいずれ負けてしまいます。なので「目指すは世界一」という気持ちで、何が何でもやり抜きたいです。
現在、海外のユーザーの増加とともに収益も増え、そのぶん海外マーケティングに関する人員や打ち手を増やせている状況です。海外で得た収益を投資してさらなるユーザー獲得に努め、どんどんグローバルで勝ち抜けるような強い組織を作っていくサイクルにできればと。
こういったビジネス的な話はもちろんですが、そもそも日本発のグローバルサービスを作ることに大きなロマンを感じていて。海外で「FamilyAlbum」に価値を見出してもらえるかは未知数ですし、各国の子育て文化も少しずつ紐解いていく必要があり、未知の領域を開拓していくのは非常に面白いです。もともと人間は未開の地を開拓して成長していった種族だと思うのでDNAレベルで開拓者精神を持っている気がしていて、すごく楽しみながら取り組んでいます。

使い続けてもらうため、みてねアプリ上に仕掛けた工夫

 
──プロダクトオーナーとして大切にされている考え方についても教えていただけますか。
 
 
笠原:いくつかあるのですが、まず第一にパパ・ママにとって使いやすいサービスであることです。自分の経験上、子育て中はものすごく忙しいのでストレス無くやりたいことができるようにしたくて。アクセスの速さはもちろん、アップロードの速度や基本的な動作がスムーズであることを重要視しています。UI上の工夫としては、同じメディアを何度もアップロードしないよう既にアップロードしたものを選択できない仕様にしていたり、何枚でもまとめてアップロードできたりします。
写真・動画をアップロードするモチベーションを保つ手助けになるような機能の提供にもこだわっています。『みたよ履歴』という、家族の誰かがみてねを開くとその記録が残る機能がそのひとつです。やはり家族からのリアクションが一番モチベーションに繋がるので、アップロードしたメディアの閲覧記録や誰かがみてねを開いた記録が残っていると「おじいちゃん写真見てくれたんだな」「おばあちゃんがよくみてねを開いてくれているみたいだから、そろそろ新しい写真をアップロードしようかな」といった気持ちが生まれるんじゃないかと。
また、自動で思い出を振り返るような機能も提供しています。たとえば『1秒動画』は、アップロードされた動画を1秒ずつ切り取ってつなげた動画が定期的に配信され、「この期間でこんなに成長したんだ」と思い出を一気に振り返ることができる機能です。『ウィジェット』という数ヶ月前・数年前の写真をふいに表示する機能や、みてねアプリを開いた時に、過去に同じ日付でアップロードされた写真や動画を振り返ることができる『スライドショー』などの機能もあり、要所要所で思い出を振り返るきっかけを作っています。
このような機能を通して思い出を振り返っていただくことで、「みてねにアップロードしていてよかったな」という気持ちが芽生え、また新しい写真をアップロードするというサイクルに自然と繋がっていけば嬉しいです。

世代を超えて愛情が受け継がれるプラットフォームに

 
──みてねをとても大切に思う気持ちが伝わってきました。笠原さんにとって、みてねはどんなサービスなのでしょうか?
笠原:みてねにアップロードされた写真・動画やコメントの1つ1つに家族の思いや子どもの可愛さが詰まっていて、子どもが愛された履歴が蓄積されていくサービスだと感じています。子どもが成長していく中で、子ども自身が受けた愛情をいつでも簡単に振り返ることができる場所があるのはすごく大切なことだと思うんです。
それに、いつか子どもが親になった時に、「2歳の時の自分はこんな絵本を読んで、こういうおもちゃで遊んでたのか」と、みてねで自分の子ども時代の写真や動画を参考にしながら子育てするような世界が実現したら面白いですよね。
親だけでなく、祖父母や曽祖父母などから放たれた愛情が子どもに伝わり、またその子どもがみてねを使って愛情の履歴を残していく。そうやって、世代を超えて愛情が受け継がれていくようなプラットフォームになっていければいいなと思います。
 
──「自分が受けた愛情をいつでも簡単に振り返ることができる」場所があれば、つらいことがあったとしても、なんとか乗り越えられそうな気がします。
笠原:実は、自分自身も子育て大変だなと思う瞬間がときどきあって。
子どもと喧嘩すると生意気なことを言ってくるので、言いすぎて泣かせてしまったり、逆に泣かされそうになったり(笑)「子育て向いてないのかな…」と落ち込んだ時に、みてねを見返すと楽しかった思い出を振り返ることができて少し心が落ち着くんですよね。そしたら「次はもっと上手くできるかも」「自分もよく頑張ってるよ」とポジティブな気持ちが芽生えてきて。
こうやって懐かしい思い出を振り返ることで、今の貴重な瞬間をより大事にしたいと思えますし、より家族の絆を深められるようなサービスになれているんじゃないかと思います。

「海外でも日本と同じくらい使われるサービス」を目指して

 
──最後に、みてねの今後の展望について教えてください。
笠原:現在、国内出生数におけるみてね利用率が47.1%で、国内の家族の約半数にみてねをご利用いただいています。リリース当初はここまで多くの方に使っていただけるとは思っていなかったので、新しく子どもが生まれた家庭の必需品的なサービスになってきていることをとても嬉しく思いますし、今後も「使ってよかった」と思っていただけるサービスにしていきたいです。
海外展開に関してはリリース当初から目指していたところで、現在7言語・175の国と地域でサービスを提供しています。よくここまでやってきたなという思いがありつつ、目標はどんどん大きくなってきていて。現在展開中の国だけでも日本の10倍ほどの子どもが生まれているので、最終ゴールとしては日本対海外比率を1:10に、つまり海外でも日本と同じくらい使われるサービスにしていきたいです。これまで国内でどのようにサービスをグロースさせてきたかはよく理解しているつもりですし、理論的には実現可能だと考えています。
 
───リリース当初から一貫して世界を見据えた発言をされていて、“ブレなさ”を感じているのですが、リリース当初と現在で変わったことはありますか?
 
 
笠原:初期の頃から、チームのみんなで熱量高く「こうあるべき」「こうしたい」と話し合って創り上げてきたサービスなので、はじめからある程度サービスの世界観やコンセプトは固まっていて。そのおかげでブレずに済んでいるのかもしれません。ただ、時代の流れや各地域の文化背景を考慮して、考えを柔軟に変えていくことも大切だと思っています。
変わったことで言えば、たとえば海外展開を進める中でより多様な家族の形があることに気づき、家族にまつわるさまざまな表現を少しずつチューニングしてきました。これからも国や時代を超えて使われるサービスにしていきたいので、もっともっと柔軟に変えるべき部分は変えていくつもりです。
 
───まだまだやりたいことは尽きないと。今後のみてねの成長も楽しみにしています。最後になりますが読者の皆さんにお伝えしておきたいことはありますか?
笠原:みてねではゴール実現のため、さまざまな知見を持ったメンバーを必要としています。みてねのミッションや世界観に共感してくれる方で、「世界中の家族のこころのインフラをつくる」という夢を一緒に実現してくださる方がいると嬉しいです。