事業開発グループ マネージャーが語る、みてねのBizDevに求められるジェネラリストの資質とは

 
2023/5/17
 
 
「家族アルバム みてね(以下:みてね)」は、2016年のリリース以降、サービスの領域を拡大し続けてきました。そんなみてねの裾野を広げるビジネス開発と、そのスムーズなサービスの運営に欠かせない存在がBizDevです。
幅広い業務領域を担うみてねのBizDevは、これまでにどのような課題を乗り越えてきたのでしょうか。
BizDevの役割を担う、事業開発グループのマネージャーである佐藤(写真左)とメンバーの外尾(写真右)に、チームの雰囲気やプロジェクトでの経験、目指す未来について聞きました。

1人ではじめた業務が「BizDevグループ」として立ち上がるまで

 
──早速ですが、おふたりのこれまでの経歴を教えてください。
 
 
佐藤:ミクシィ(現MIXI)に入社する前は、スタートアップ数社で経営に関わっていました。前職ではみてねの類似サービスを提供しており、買収される形で2016年にみてねにジョインしました。
 
──みてねにジョインされてからはどのような業務に携わってきましたか?
佐藤:入社当時、みてねではユーザー獲得を優先してマネタイズを後にしていたんですよね。自分は前職でフォトブックやDVD、年賀状のような商材を作った経験があったので、みてねでもその経験を活かして、マネタイズを進めていきました。事業開発を担当するメンバーは自分1人でした。
 
──当初はおひとりだったんですね。みてねの「BizDev組織」はいつごろ発足したのでしょうか?
2018年に「BizDev CSグループ」という組織が出来ましたが、事業開発や事業運営業務を担当するメンバーは、自分を含めて2名だけの状態が長く続きました。その後2021年10月に事業開発業務をチームとして担えるよう、4名体制に強化しました。外尾さんにジョインしていただいたのもこのタイミングです。また、2023年3月からはCSチームと分離して「事業開発グループ」に名称を変更しています。
 
──外尾さんは、みてねへジョイン後どのような業務を?
外尾 :大きく2つで、事業運営とバックオフィス業務です。 「みてね みまもりGPS」や、ヨーロッパ向け配送などのプロジェクトにジョインしたり、契約や決済など、さまざまなバックオフィス業務を行ったりしていました。

「助け合い」の文化のおかげで、すこしずつ仕事を覚えられた

 
──「事業運営」と聞くと、すごく幅広い業務を担当されるイメージがあります。求められるスキルが多く、ジョイン当初は大変だったのでは?
外尾:BizDevという役割は初めての経験で、皆さんに0から教えてもらいながら業務を覚えていきました。ジョイン当初からやることは決まっていましたし、元々チームにいた佐藤さんともう1人メンバーの方がマニュアルも綺麗に整備してくださっていたので、オンボーディングは割とスムーズだったのではないかと…!
佐藤:マニュアルは最低限しか準備していなかったんですけどね(笑)はじめは定型化されている業務を担当していただき、少しずつ非定形な業務にも取り組んでもらう流れにしていたので、スムーズだったと思います。
 
──外尾さんから見た、チームの印象は?
 
 
外尾:メンバー同士で足りない部分を補い合っている感じがします。わたし自身最初はわからないことばかりで、その分助けられた印象が大きくて。チームについて考えると「助け合い」という言葉が頭に浮かんできますね。
 
──チームメンバーに対する感謝の気持ちが伝わってくるような、言葉のチョイスですね。

BizDevが担うのは、事業開発と組織支援の2つの領域

 
──みてねのBizDevは、どのような役割を担っていますか?
佐藤:みてねのBizDevの役割は、事業開発と組織支援の大きく2つに分けられます。
事業開発の領域に含まれるのは、プロダクト企画やオペレーション設計、そして新規事業開発などの業務です。みてねは現在マトリクス組織によるプロダクト開発体制を導入し、複数の独立したドメインチームが存在しています。事業開発を担うBizDevのメンバーは、各ドメインチームにアサインされています。
組織支援とは、プロダクトに直接紐付かないものの、事業を運営するために必要なバックオフィス業務のことです。例えば業務委託の方との契約や、サービスを新規利用する際の規約の確認、取引先への決済業務など業務は多岐にわたります。バックオフィス業務はチームメンバーで作業を分担していて、直近では外尾さんが持つ業務のボリュームが一番多かったです。
 
──外尾さんは、バックオフィス業務を主に担当されているのでしょうか?
外尾:はい、これまではバックオフィス業務のボリュームが大きかったので、 ドメインチームには属さずスポットでプロジェクトに参加していました。ただ、5月からはMERCHチーム(※)にジョイン予定です。
※デザイナー、エンジニア、QA、スクラムマスター、プロダクトマネージャーで構成された職能横断チーム。写真プリントや出張撮影など、みてねブランドを広げる周辺商品・サービスを担当領域としている。
 
──今後は事業開発に軸足を置かれると。
 
 
佐藤 :実は5月から、バックオフィス業務を担う組織支援の専門チームを作る予定で、チーム組成の真っ最中なんです。4月から2名、バックオフィス業務専門のメンバーにジョインしていただいて、外尾さんにOJTしてもらっています。
 
──専任のチームを置くことで、その業務がより強化されそうですね。
佐藤:そうですね。組織支援とは別に、新規事業企画の専任チームも今年から始動しています。新規事業の立ち上げには、そもそもプロダクトが顧客価値を持って成立するかの検討から、パートナーとなり得る企業の調査、契約周りの調整や収益計画の作成まで、さまざまな業務があります。
これまでは専任者がいませんでしたが、みてね経済圏の裾野をより拡大していくためには継続的なリサーチとプランニングが必要だと考え、新規事業開発の経験者にジョインしてもらいました。実際に4月から新しいプロジェクトが立ち上がり、新機能の開発がスタートしています。

ユーザーの要望に応えるため、ヨーロッパへの配送を実現

 
──おふたりは写真プリントやフォトブックなどを、ヨーロッパのユーザーさんへお届けするプロジェクトに取り組まれたそうですね。具体的に、どんなことをされたのか教えていただけますか?
佐藤:まずは背景からご説明すると、現在みてねでは海外ユーザーの数が増えていて、海外からも写真プリントやフォトブックなど、プリント関連の商材をご注文いただいています。以前は日本で生産した物を国際郵便で配送していたのですが、新型コロナウイルスの流行をきっかけに、ヨーロッパ向けの郵便物の引受が停止してしまいました。
この状況は残念ながら今も続いていて、ヨーロッパのユーザーから「まだ配送を再開しないのか」という問い合わせをいただくことが増えてきたんですよね。
FedExやDHLなどの国際便は送れますが、1件ずつ送ると1件数千円ものコストがかかってしまいます。そこで、 許容可能な範囲のコストでヨーロッパに商品を届ける方法がないか検討し、“現地ブレイクアウト配送”という方法を考案しました。
 
──“現地ブレイクアウト配送”とは一体、どのような方法なのでしょうか?
佐藤:現時点ではヨーロッパの中でも需要の多い3カ国に配送先を絞っているのですが、まずは生産した商品を一定数まで日本で溜めます。そして商品を宛先の国ごとに分類し、その国専用の箱に入れます。その箱を各国の提携している物流倉庫に配送します。各国の倉庫で箱を開梱し、商品ごとの梱包に貼付されたバーコードから現地配送業者用の宛先ラベルを印刷して、貼り付けてもらいます。その後、現地の配送業者さんに配達していただくという手順です。
この仕組みを用いて、2022年の11月からヨーロッパ向けの配送を再開しました。
 
──その方法だとかなりのコスト削減になりそうですね…!外尾さんは、その中でどのような役割を担われていたんですか?
外尾:生産したものをユーザーさんの手に届けるまでの物流の各ステップを、1つずつ構築させていきました。たとえば、日本からヨーロッパに配送してくださる運送会社を探すところから、現地で“ブレイクアウト配送”が可能な業者を探して手配したり、実際の出荷までや返品対応などのオペレーションを整えたり。
 
──みてねでは前例の無い取り組みで、苦労されたんじゃないでしょうか?
 
 
外尾:そうですね。配送会社を決めた後のオペレーション設計が特に大変でした。各プロセスで各会社がどのような動きをすればスムーズに配達できるのか細かく設計する必要があり、商品の識別・追跡方法や配送頻度など配送に関わることだけでなく、みてねCSチームとも連携しなければならないので、関係者間でいかにスムーズに課題解決できる環境を整えるかなど、たくさん課題がありましたね。
 
──ゼロからものごとを形にしていくのは大変ですよね。実際に運用を始めてみてどうですか?
外尾:実際に運用してみるとたくさん課題が出てきて、随時各所ステークホルダーと一緒に解決しています。今の一番大きな問題はユーザーに商品が“届かない”ことで、現地配送業者さんに配送不可エリアと判断され返品されてしまったり、みてねの用意したラベルが電話番号を記載しないフォーマットだったために、配送会社とユーザー間での連絡が取れずに返品されてしまったり。
これに関しては現地倉庫担当者やチームメンバーと原因を逐一調査して、解決策を講じているところです。
ただ、時差や言語の問題で中々スムーズにいかず。CSにも多くのお問い合わせが届いてお客様をお待たせしてしまっていたので、連携強化のためにCSと課題を共有するための定例ミーティングを設け、現地配送会社にもリアルタイムに情報共有を行う環境を整えました。
また、みてねには各国の言葉を話せる方がいらっしゃるので、国ごとに窓口を設け、スムーズにコミュニケーションが取れるような体制を徐々に作っているところです。

「BizDevはジェネラリスト寄り」で、柔軟性と学習能力が大切

 
──お話を聞いていて、BizDevには状況に合わせて柔軟に動ける適応力が重要なんじゃないかと感じました。
佐藤:そうですね。柔軟性と学習能力が非常に重要で、スキルは業務を通して身につけるものだと思っています。
 
──スペシャリストというよりは、ジェネラリスト寄り…?
 
 
佐藤:BizDevはジェネラリスト寄りですね。プロダクトをビジネスとして成立させるため、マネタイズや取引先への支払、規約の確認など、プロダクトを作る以外の広い範囲の業務を担っています。
全ての領域でスペシャリストになるのは無理なので、1つ1つを深堀りする必要は無いと思っていて。プロダクトの成功に必要なことを、専門家の意見を参考に実現させていくことの方が重要です。プロダクトの外にいる専門家とプロダクトメンバー間の知識のギャップを埋めるようなチームでありたいと思います。
 
──プロダクトと外部の専門家の架け橋となるような存在なんですね。最後に、今後の展望についてもお聞かせいただけますか?
佐藤:今後もユーザーさんに届けられるプロダクトの価値を大きくしていきたいです。これから手を広げる領域はお話できませんが、今後も家族アルバムという機能をコアにしつつ、サテライト的なサービスを増やしていく予定です。
また、海外ユーザーの比率も増えているので、海外のユーザーさんにも価値を届けられる仕組みを整えていく、というのが直近で優先度の高いものですね。もちろん、それを実現するための体制づくりにも取り組んでいく予定です。
 
──サービスの拡大と、チーム力の強化をメインに取り組まれる予定なんですね。外尾さんはいかがでしょうか?
外尾:個人的な話なのですが、5月からドメインチームにジョインするので、また未知の領域を経験することになります。今はBizDevにジョインしたばかりの頃とは違い、みてねというプロダクトへの知識が増えたので、また違った挑戦ができるんじゃないかとワクワクしています。
自分にできることとドメインチームの力をかけ合わせて、どんどん新しいことにチャレンジしていきたいです。
 
──きっと、ドメインチームにとって頼もしい存在になるんじゃないかなと思います。
外尾:そう思ってもらえるように頑張ります!